Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「じゃ今夜は僕がおごろう。」
と矢代は云った。ここにいると、どういうものか理窟に落ちることばかりの生活がつづき、避け難くなる場合が多いので、理窟を吹きかけた方からその日の晩餐の支払いをするという約束が前から二人の間にあったので、久慈も口へ入れかけたスパゲッティをそのまま、しめたとばかりにはたと卓を打った。
「そうだ。忘れていた。今夜こそは君だよ、これで百フラン儲かった。」
久慈は早速アンリエットにフランス語で、今夜の御馳走は矢代が払うから幾ら食べても良いと説明した。
ありがとうとアンリエットは日本語で礼を云うと葡萄酒を矢代に上げて笑った。矢代はアンリエットから聞くのはいつもフランス語ばかりで日本語をほんの少しより耳にしなかったが、彼女の父がマッサアジュリーム船舶会社の横浜支店にいたときに三年も習ったということであったから、恐らく平易な日本語なら何事も分るのであろうと思った。
薄明るい夕暮が窓の外へ迫って来た。アンリエットの折るセロリの匂いが白い卓の上に漂っている中で、矢代は若鶏の脇腹にたまった露を今は何物にも換え難い味だと思った。
「フランソア一世だか八世だか、世の中にこれほど美味いものがあろうかと云って、どんなにお附きの者がとめても台所へ走って行って、こ奴にかぶりついたということだが、全くこれだけはやめられ