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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、矢代にしては、そのことだけは特に千鶴子に云いたくて云ったことだった。実際、彼は千鶴子をこの夜見たときから、全く別の舞台で昨日と違った劇を見始めているような、乗り移らぬ気持ちを感じて沈んだ。

そして、その愉しめぬものの一切も、千鶴子の預り知らぬことばかりで、この夜の解せぬ悲しみや寂しさのすべても、ヨーロッパで自分の見ていた幻影のさせる仕業だと思うほど、西洋から帰って来た多くの青年が、船上から神戸を見て悲しみのあまり泣き出すという、弱まり崩れた心根もやはり同様に自分の中にも潜んでいたのだろうかと、矢代は不快になり、一層悲しく沈むばかりだった。

しかし、それも千鶴子一人がどうやら嗅ぎつけたらしい以外には、塩野も由吉もまだ知らず、席は料理の数が増えるにつれ賑やかになっていった。

「それはそうと、男爵は日本へ帰るつもりがあるのかね。」

と由吉は話を換えて塩野に訊ねた。男爵というのは、サンゼリゼのトリオンフで、初めて矢代が東野から塩野を紹介されたとき、一緒に紹介された同席の平尾男爵のことだろうと矢代は思った。

「さア、どうも男爵は、帰ろうにも帰れないんじゃないかな。