Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「真紀子さんからその後お便りありましたか。」と矢代は訊ねた。
「ええ、ミラノからいただきましたわ。何んだかひどく寂しそうなお手紙よ。あなたには?」
「僕には二三日前に久慈から来ましたが、また喧嘩を吹きかけて来た。どうも久慈とは、とうとう碁敵みたいになりましたよ。」
「久慈さんからあたしもいただいたの。真紀子さんとも駄目のようだって書いてあるんだけど、どんなかしら。」
ふとまた沈みかかろうとする気力を、ひき立てては自分を支える努力で、千鶴子は矢代を見るのだった。矢代もパリ以来の二人の緊張の弛み垂るんだ面を支えようとして、快活な風を装ったが、それも千鶴子と視線を合せる機会が苦しくなってすぐ脱した。
「やはり僕の云ったことも正しかったでしょう。パリにいるときの方が怪しいっていうことが。」
さすがにそれだけは云わなくとも、矢代はそれを云う代りに微笑ともつかず、いたわりともつかぬ薄笑いのもれようとするのも、事実ここに現れたこの結果が二人を指し示している以上、それを蔽い隠すことも無駄だった。それもみな二人にとってはこの上もない不服なことだのに、しかし、与えられた儼とした判決の後では、も早やすること為すこと自分らには余興にも似たことなのだろうか。