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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

そこをどういうもので埋め合せて良いのか、一寸見当がつかないよ。君もそうだろう。」

矢代は停留所の白い立札に手をかけ塩野を覗いた。

「どうも僕らはそれが今さら弱点になって来た。」

「僕はこのごろ、皆が何を考えているのか分らなくなったのだよ。何かこちらが云いかけても、これや云いぞこなうだけだと思って、ついやめるんだが、そういうせいか、僕は物が云いたくなると、何ぜだかこの欅に云うようになってね。僕にはこの樹は今は実に大切な樹なんだよ。」

塩野はちょっと眼の色を変え欅を仰いでいてから、

「なるほどね。天罰があたったと君がここで云ったの、分るよ。――そうだなア。」

と云いつつなお仰ぎつづけた。矢代もともに眺めていたが、冬枯れた梢の上を流れる断雲に眼を転じたとき、あの結婚した方の妻の千鶴子はいまごろどのあたりを旅していることだろうと、ふとそんなことを思って雲の流れが懐しまれた。唐竹のステッキを握った手首の冷えて来るのに矢代は、まだ自分も目的の遠い旅をつづけている姿だと感じ、バスの来るのを待つのだった。

二人はその夜両国のある鳥屋へ上った。鳥肌の煮え始めて来たころ、急に思い出したらしく、塩野は今朝の新聞を見たか面白いねと云った。