Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

橇箱の三人は何んとなく黙りつづけて雪の中を揺れていった。

宿の女中たちの玄関に出揃った廊下を、三人は所定の部屋へ渡った。部屋には炬燵も出来ていた。宿着に着換えてから千鶴子と槙三がすぐ湯に行った。矢代はひとり部屋に残って熱い茶を飲み、炬燵に膝も温まって来ると、これからひとり冷えた山小屋へ戻るのも億劫に感じ、どこか別に部屋の空いたのを頼んでみたくも思った。しかし、一緒のものがさばけた由吉ならともかく、汚れの見えない槙三が千鶴子の連れだと思うと、千鶴子と自分の外国流の親しさなど見せるのも気がねだった。やはり夕食だけ宿で摂りそれから山小屋へ帰ることに定め、彼はまた傍の脇息を抱き込んで二人の戻るのを待つのだった。

それにしても千鶴子がここまで出て来ることの出来たのは少しは彼女の母も娘の意志を認めて来たのかもしれず、その相談もあってのことかとも解されたが、二人の間がのっぴきならなくなっているというよりも、も早や結婚する以外にどちらのコースもなくなっているのを矢代は感じた。それも男女の慎しみの限りを守りつづけ、その果てに実となった、われ知らぬ夢中での結婚だったとはいえ、すでに矢代は千鶴子の結婚も終えての今、初めて見るこの夜の親しさは、また格別前とは違って近親の情を覚えた。