Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほんとに僕はパリで何百羽食べただろう。一度鶏供養をしよう。その供養でまた食べるか。」

「どこの料理が一番お好きでした。」

と槙三は訊ねた。この同じ質問はこれまでに度び度びされるため、矢代は答えるのに、いつか本当のことが云えなくなってしまっていた。

「僕は鶏のことを思うときだけ、一度外国へ行きたいなアと思うんですよ。由吉さんのまた行かれることを聞いても、第一に鶏が浮んで来てね。こういうのが、やはり、供養というんでしょうね。だから、今日のもつまり、これも鶏供養です。」

「それはそういうものでしょうね。兄さんと行くようなことにでもなったら、あたしあなたの代りに沢山鶏を食べといて上げてよ。」

千鶴子は鶏の肩の部分にナイフを入れながら、ちらっと矢代の顔を伺って云った。

「じゃ、あなた、また行かれるおつもりもあるんですね。どうも、いまいましいなア。」

と矢代は、槙三のいる手前もあって軽く、眉を上げて笑った。

「でも、兄さんから行こう行こうって云うんですの。帰ってから半年目と一年目に、一番また行きたくなるって云うけれど、どうもそのようね。何んだかしら、あたしもそのせいか、ときどきふらふらっと、眼暈いするみたいに行きたくなることがあるの。