Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
「じゃ、あのとき、あれで何かあなたも研究してらっしたんですか。」矢代は千鶴子との交際の日のことを省みて自分の迂濶さに、今さら驚くように訊ねた。
「あのときは、あなたがいけないんですよ、あなたはただ遊べ、それが何より勉強だって仰言ったわ。」
「いや、あのときは一番それがほんとうだったのですよ。僕だって、あのとき遊んだことだけは後悔したことありませんからね。」
「そのせいね、こんなに帰ってから勉強したくなるの、――あたしね、洋裁の断ち方をもっと勉強して来て、自分で生活をしてゆきたいと思うの。そんなことこのごろいろいろ考えると、愉しいんだか寂しいんだか、よく分らなくなって困るんだけど――」
どういうことを云いたくて千鶴子はそんなことを云い出したりしたのかと、矢代は暫く考えるのだった。槙三のいるため眼に見えぬ家庭内の気苦労を、露には云い得ず、暗に匂わす彼女の苦しさの歪みかと解することも出来れば、また一方どこかで、自分に衝って来ている角の鋭さも感じられ、矢代は返答に窮して黙っていた。
「こんなこと、もうやめましょうね。せっかくの御飯もったいないわ。」
千鶴子はふと軽く翻るように云って、吸物をニュームの鍋から椀に注ぎ、それぞれの前に並べた。