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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、あれだけは幻影とは思えない。たしかにあれは本当だ。それだから別れがこんなに寂しいのだ。」

矢代はそうひとりぼそぼそと呟きながら、光りに射し返った金色の波の上を鰐足でまた渡っていった。

小屋へ帰ってから、矢代は千鶴子の手紙の封を切った。手紙には、彼の予想したこととはそんなに違わぬことが多かったが、その中に、彼女の母の奨める青年が早く返事をくれとしきりに迫って来ていることと、今一人別の青年と二方から押して来ている縁談に挟まれ、日夜苦しくなっている立場のことなど、精しく矢代に談そうと思って果せなかった残念さなど書いてあった。そして、終りの方に、

「でも、今夜はあたくし愉しゅうございましたわ。これで帰りましても、暫くは元気でいられることと思いますの。あなたのお気持ちお変りにならないこと存じました上は、どんな我慢もする決心でおります。ただ母のことだけは、あたくしの決心が固まれば固まるほど、暫くは母も意を和げてくれなさそうに思われますので、さぞあなたに御不快をお与えすることと存じまして、それだけは心配でございます。外国へまいりましたときは、帰れば母との約束のまま、母の奨める人とと、そんなに軽軽しく考えておりましたのに、こんなに自分も変ってしまいましたのは、どういう神さまのお気持ちでございましょうか。