Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

どうです。それからのあなたのお説は?」と久木男爵は矢代の方に向き返ってなお彼の話を引き出そうと試みるのだった。老人というものはこんな議論に興味を覚えないのが通例であるのに、不思議と誰よりこの老人は熱心で真面目だった。矢代はこの夜は前から、科学とか道徳とか、とこんな形而上の問題から遠ざかっていたいが本心で、老人から問われるときにも、自然と話を丸く納め切り上げる工夫へ傾きつつ答えていたのだったが、それも次第にこのように追い詰められて来ては、身の動かぬ思いでもう苦しかった。

「私はパリにいたときも、友人と今夜のような問題で、いつも喧嘩ばかりしていたのですが、どうも日本へ帰ると、向うで血眼になって争っていたことも、だんだんつまらなく思えて来て、何んだか議論をするのが嫌になっているんです。何んと云いますか、皆さんどなたも御経験お有りの方ばかりのようですが、西洋へ一歩上陸すると、思いがけなく、これは戦場へ来たぞと思いますね。たしか私らにはあれはまだ見たこともない戦場でしたから、初めは何が敵だか分らぬながらも、とにかく、敵の真ッただ中にいるんだということだけははっきり感じますから、言葉を一つ違えると、味方も敵に見えてしまって、随分負傷をしたり、死んだりするでしょう。