Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
矢代は侯爵夫人の美しい顔色が幾らかさッと動くのを見ると、いつか見たことのある侯爵家の先祖の壮麗な城が一瞬光を揚げて頭に泛んだ。そのとき彼は一寸千鶴子の方を眺めてみたが、千鶴子はにこにこ笑った視線を彼に向けて黙っているきりだった。
葡萄酒に赧らんだ顔が、白い卓布の上から鮮かに顕れて来たころ食事は終った。客たちは隣室へ移っていってそこでまた雑談が始った。矢代はひとり窓の傍に立ち室内の光りを避けて庭をよく見た。中庭からつづいて来ている小松林が中央の所で、島のように盛り上りを見せていて、その水際を洗うように、白砂が箒の波目を揃え入り組んだ柔い線をよせていた。松の先がどれも牡丹刈にされたところや、下の水際に掃きよせられた枯葉の納まりが、大徳寺内の孤蓬庵の系統を引いた庭に見え、矢代はこうしているときにも京都へ早く行きたくなる誘いを感じて来るのだった。
「綺麗なお庭ですことね。」
と、千鶴子は矢代の横へ立って来て云った。
「御馳走を頂戴して、良い庭を見せてもらって、今夜はどうもありがとう。」
「このお二階に良い陶器が沢山あるんですの。あなた御覧になりたければ、お頼みしてみましてよ。