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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

」

父にも酒が少し廻って来たと見え、子の前でむかしを偲ぶ自慢もそろそろ出始めた。矢代はこのときを機会に父の自慢談をなおよく聞き出して置きたく思い、父の盃に酒を忘れずに注ぐのだった。

「久木さんとこの会社には、いつごろまででしたか。」

「碓氷トンネルを仕上げるまであそこで御厄介になった。どうもわしは短気者だったから、命令通りにしては仕事の進行は危いと分ったので、反対をしたのだ。ところが、会社の方はわしの云うのを取り上げてくれなかったものだから、とうとうトンネルは潰れた。それでまたわしが命ぜられて仕上げたのだが、それと一緒に会社も止めさせて貰った。」

固そうな白い鬚に父の表情は隠されていたが、直接に見たこともない父の才腕も、微笑を含んだ眼もとに冴え光るものの走るのを眺め、あれが父の鍛錬の顕れであろうかと矢代には思われるばかりだった。

「一番の御自慢はどこですかね。やはり碓氷峠でしたか。」

「そうだなア。自慢の出来るのは碓氷峠と逢坂山だ。今の逢坂山はあれは誰がしても失敗したもんだが、とうとう最後にわしが仕上げた。今でも東海道線であそこを通るときは妙なものだ。眠っていてもぱッと眼が醒めるよ。