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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

暴力なんてものを批判するには、手ごろな簡便主義でも結構でしょう。」

「つまり、それじゃ、ニヒリズムというわけなんですか。」

と久慈は当の脱れた失望した顔つきに戻って顎を撫でた。

「あなたは御婦人づれじゃありませんか。今日はそんなところで良いでしょう。」

久慈は大きな声で笑うと、

「どうも、失礼しました。じゃ行こうか。」

と矢代に云って立ち上った。食事には丁度良い時間だったので矢代も一緒に立って皆と出たが、歩きながら彼は、

「今日は君も東野氏にやられたね。たしかに君の面丁割れてるぞ。」

と愉快そうに久慈の顔を覗き込んだ。

「ふん、合理主義を認めん作家なんか、何を書こうと知れてら。」

「いや、十目の見るところ君の負けだ。愉快愉快。」

と矢代はまた云って笑った。

「じゃ君は、人間が今まで支えて来た一番美しいものを、みな捨ててしまえと、まだ云うのか。」

「あら、雪だわ。」

急に千鶴子は立ち停ると腕にかかった花弁のようなものに驚きの声を上げた。

雪か。いや花だろう。と云い合って一同空を見詰めている間にも、久慈だけは一人わき眼もふらず先に立って歩いていった。

矢代とアンリエットと、千鶴子とは、クーポールへ這入る久慈の後から遅れていったが、もうこの晩餐の面白くないことは誰にも分っているようであった。