Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
僕らはあんな絵を見せられると、聖壇もいやらしくなって、すぐ出て来たくなって困るが、あのころは、誰も東洋人にあんな絵が見られようとは思わなかったんだな。」何か話すと、見て来たものの批評ばかり自然会話となってしまう外遊者の癖が、また争われず矢代にも出るのだった。
「あたし、この間からパリを見物して、フランスのいい所や恐ろしい所は、やはりこの国の伝統だと思いましたわ。でも、それなら日本にだって有るんだと思うと、パリもそんなに恐くなくなって来たの、もしこれで日本に伝統がなくって、あたしこちらへ来たんだったら、どんなに惨めな思いをしなければならなかったかしらと思うわ。」
千鶴子の感想は正しいと云うよりもむしろ矢代を喜ばした。
「そうですよ。ところが、久慈君はそれを云うといやがるんですよ。あの人は僕らを無言の中に勇気づけてくれている日本の伝統まで認めようとしないんだから、困ってしまう。」
若葉の繁みの間から杏の花弁の柔く舞い散って来る中を貫き、重くすうッと真直ぐに青葉が一つ落ちて来る。風が吹く度びに揺れる繁みの中から時計の白い台盤が現れてはまた青葉に隠された。
「でも、久慈さんだって、口でだけあんなに仰言っていらっしゃるのよ、先日もあたしに、パリもいいけれども日本もいいなアって仰言ってから、こんなこと、矢代君にはうっかり