Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にちげつさま

日月様

坂口 安吾

Lesen Sie 日月様 (にちげつさま) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.162 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

女が絵の天才、私が文学の天才、それで日月、こう思いこんでいた私の甘さは馬鹿のようなものである。

「日月というのは、なんのことですか?」

主婦は又、クスリと、ガッカリした笑い方をした。

「日月様とでも申すんでしょうか。キミちゃんが思いこんでいる宗教なんですよ。男と女、それが日月。でもねえ、キミちゃん自身、男のくせに女装して、つまり、自分が一人で日月をかたどっているという思いこんだ気持もあるんです。そのほかに、とりたてゝ変ったところもないのですし、根は気立てのよい、おとなしい人なんですけど、ねえ」

茫然たる私に、主婦はなんでもない顔付でつけたして云った。

「キミちゃん自身が、自分のモモの肉をえぐったことは事実なんです。キミちゃんのオカミさんが、人間の肉をたべたいとか、云ったとか、これは噂ですけれども、色々曰くがあったんでしょうが、キミちゃんが思いつめたアゲクに、自分のモモの肉をえぐってオカミさんに食べさせたんだなんて、まア、噂ですから、真偽のほどは分りません」

私は二の句のつげない状態だった。私自身が精神病院をでゝ、まだ一週間ほどにしかならない日の話なのである。