Japanische Klassiker mit Furigana
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いっすんぼうし
日本の古典童話
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の古典童話 (いっすんぼうし) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.747 Zeichen · 50 Bildschirme
あぶはもう逃げることができなくなって、羽ばかりあいかわらずぶんぶんやっていました。
すると向こうから、身分のあるらしい様子をした女の人が、牛車に乗って長谷寺へおまいりにやって来ました。
その車には小さな男の子が乗っていました。男の子は車のみすを肩にかついで、たいくつそうにきょろきょろ外のけしきをながめていました。すると若者が木の枝の先にぶんぶんいうものをつけて持って来るのを見て、ほしくなりました。そこで男の子は、
「あれをおくれよ。あれをおくれよ。」
と、馬に乗ってお供についている侍にいいました。
侍は若者に向かって、
「若さまがそのぶんぶんいうものをほしいとおっしゃるから、気の毒だがさし上げてくれないか。」
と頼みました。若者は、
「これはせっかく仏さまからいただいたものですが、そんなにほしいとおっしゃるなら、お上げ申しましょう。」
といって、すなおにあぶのついた枝を渡しました。車の中の女の人はそれを見て、
「まあ、それはお気の毒ですね。ではその代わりに、これを上げましょう。のどがかわいたでしょう、お上がりといって、上げておくれ。」
といって、大きな、いいにおいのするみかんを三つ、りっぱな紙にのせて、お供の侍に渡しました。