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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

「蟹が出た、蟹が出た、お祖父さん、お諏訪様が呼んだから、蟹が木の穴からぞろぞろ出て来たよ」

「もったいないと云うに、罰あたり奴が、そんなことを申しあげてはならんぞ」

「出て来たわ、出て来たわ、お祖父さん、一ぱいの蟹よ、見なさい」

「もったいない、もったいない、もったいないことを申しあげてはならんぞ」

為作の頭はその時何かに持ちあげられるようになってふいとあがった。たくさんの小さな沢蟹が紫がかった鋏をあげてぞろぞろと来るところであった。為作はまたべったりと頭を地べたにつけた。

「もったいない、もったいない、こんなもったいない目にあっては、この老人の命を、たった今召されても惜しくはありません、神様もったいのうございます」

為作の感激に充ちた詞は忽ち遮られた。

「この老いぼれ犬、どうも素振りが怪しい怪しいと思っておれば、こんな処でばてれんをやってけつかる」

為作は顔をあげた。其処には前夜の林田が二人の男を伴れて立っていた。林田は前夜の復讐をかねて女を奪いに来たところであった。

「江戸から来ておる花魁あがりが、てっきりばてれんを持って来たにちがいない、すんでのことに、昨夜はばてれんの蟹の鋏で、この大事の眼を、衝き刺されるところであった」