Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
そのうちに夜が段だんと明けて来た。仰向いて空の方を透すと空は蒼白くなって、光のなくなった星が二つばかり栂の木の梢にかかっていた。
林の下も次第に明るくなって木の葉の色も形もやや識別することができるようになった。係蹄を掛けた処は其処から五六間しか離れていなかった。それは山裾の小溝のように窪んだ処であった。半兵衛は朝の餌を探しに来る獣がもう動きだす時刻だと思ったので、煙管を胴乱に収めてしっかりと腰に差し、立て掛けてあった鉄砲を隻手に持って何時でも撃てるように身がまえをした。
紫色に光る一つの山蚯蚓が、小蛇のように何処からか這いだして来て、それが係蹄の針金にかかった。半兵衛はそれを見つけた。
(大きな蚯蚓もあるもんだ)
蚯蚓はそれっきり動かなくなった。と、その傍の黄色になった草の中からにょこにょこと動きだしたものがあった。それは土色をした蛙であった。蛙はその眼をきろきろとさしながら這いだして係蹄の傍へ往き、ちょっと立ち停って何か考えるように首を傾げていたが、やがてぱくりと口を開けたかと思うと、彼は山蚯蚓をくわえて眼を白黒にさしながら呑んでしまった。蛙はやっと一仕事終ったと云うような態をして踞んだ。