Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
小石が雨のように半兵衛に向って飛んで来だした。半兵衛は揮り返った。百人ばかりの妖僧が手に手に小石を持って投げていた。石は隙間もなく半兵衛の体に当った。半兵衛は夢中になって妖僧の群へ切りかかった。
「くそっ、くそっ、くそっ」
半兵衛は血声を揮り絞って切って廻った。そして、へとへとになってしまったところで、木の根か岩角かに躓いて刀をなくしてしまった。それでも、まごまごしていては妖僧のために命を失う恐れがあるので、彼は踞んで手に触るものをなんでもかんでも掴んで投げた。
妖僧の群は辟易しだした。妖僧は一人二人と逃げはじめた。半兵衛はそれに力を得て一層一心になって投げた。妖僧の数は益ます減ってもう此処に一人其処に一人と云うようになっていたが、それもとうとういなくなった。
半兵衛はがっかりした。それと同時に夢が覚めたようになった。それでも彼はまだ其処に妖僧がいるような気がしたので、両手に掴んだ最後の小石をばらばらと投げた。その小石は皆己の胸や頭に当った。彼は驚いて己の体を見廻した。己の体の周囲には己の手で己に投げつけた小石が一杯になって、己の顔や頭からは一面に血が流れていた。