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Japanische Klassiker mit Furigana

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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

女の体は無くて首ばかりが寝ていた。首の切口は血みどろになっていた。

侍は戸外へ飛びだした。そして、隣家の者を呼び、その上で検視を願った。怪しい首は、前日、山屋敷の門口の板橋の袂で切られた罪人の首であった。そして、その罪人と云うのは某遊女で重罪を犯したもので、春早々死刑になることになっていたが、その遊女が牢屋の口にある桜の花の咲く比まで待ってくれと願ったので、それがために昨日まで延びていたものであった。

侍は検視の前でいろいろと聞かれた。侍はしかたなくその事実を話したが、話しているうちに顔色が変って、

「あれ、あれ、花が散る、花が散る」

と云って起ちあがって室の戸外へ出た。人びとは追かけて往って伴れもどしたが、彼は遂に発狂して座敷牢に住わされる事になった。そして、春が来て桜の花の咲く比になると、

「……花が散る、花が散る」

と云って騒いだ。