Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
その拍子に毛むくじゃらの犬の足のようなものが首筋に触った。
夕方、茄子を煮た鍋をおろしてその茄子を椀に盛ろうとしていると、鍋の蓋が自然に開いて煮た茄子の片が二片三片空に浮いてそれが椀の中へ来て入った。お作は恐れて頭がかっとなった。そして、怖ごわ椀の中を覗いて見ると椀は元のように空になって、鍋の蓋も元のようになっていた。
谷のむこうの畑へ往っていて微暗くなって帰り、庖厨の土間へ足を踏み入れてみると、形の朦朧とした小坊主が火のついた木の枝を持って立っていた。お作はびっくりして女の児を負ったなりに土間へつくばった。そして、戸外へ走りでようとして起きながら見ると、もう何もいずに灰をかけてあった地炉の火が微に光っていた。
お作の家にはどうしても魔物がついている。お作は翌日親類の老人に話して、魔除けの祈祷でもしてもらうように頼みたいと思って、その夜はおっちりともせずに夜を明かし、朝飯がすんだなら畑の仕事も休んで、親類の家へ往こうと思って飯を喫っていると、門口で錫杖を鳴らす音がした。お作はその音を聞くと何んだか体がすっきりしたように思って、傍の笊にあった黍の餅を二つばかり持って出て往った。