Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「お母」と、鍛冶が云った。
「なんだ」と、老婆はしゃがれ声で云った。
「お客様が、金創の薬をくれると云うきに、つけてもろうたらどう」
「なに、金創の薬」と、云って老婆は頭をあげた。頭は穢い衣の破れでぐるぐると巻いていた。
「お婆さん、怪我をしたそうなが、どんなことでございます」と、飛脚は鍛冶の横の方から云った。
老婆は凄い顔をしてきっと飛脚の方を見たが、みるみる口が耳の方にひろがって往った。
「昨夜の侍じゃな」と、云って老婆は物凄い吠えるような声をだした。老婆の形は見る見る恐ろしい獣になった。
鍛冶は驚いて気絶した。
飛脚は刀を抜いて怪狼に飛びかかってその咽喉元を刺し通した。
怪狼は一二年前、鍛冶の老母が山へ枯枝を拾いに来たのを喫い殺して、それに化けていたのであった。
鍛冶は其処でほんとうの母親の骨らしい物を尋ねだして父親の墓の傍へ葬った。これは土佐で有名な伝説である。