Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「そうか」
「あんな法力のない坊主は、しようがない、何人か力のある人を呼うで来にゃあいかんと皆が云いよる」
清導寺谷の下の方にさんでんと云う畑があった。
「今日、さんでんの上の方を鷲が飛びよったと云うぞ」
「ほう鷲が」
「そうよ、鷲が」
「鷲が此処な処におるじゃろうか」
「どうか知らんが、飛びよったと云うぞ」
「鷲は人を掴むと云うじゃないか」
「掴むとも、三之助は鷲に掴まれたじゃないか」
三之助とは芝居に出て来る少年のことであった。また、北隣の老人と隣の男はこんな話をしあった。
「ありゃ鷲じゃのうて、熊鷹と云うじゃないか」
「ありゃ、なしじゃよ」
「なしという鳥があるかよ」
「いや、はなしじゃよ」
冗談を云ったのは北隣の老人であった。その鷲の噂があってから数日して、私達をおびえさした事件が起った。それは昼間寝かしてあった清導寺の嬰児が寺の傍の野雪隠の中に落ちて死んでいたと云う事件であった。そして、嬰児にさしてあった襁褓が庭の梅の木の枝にかかっていたと云って、嬰児は鷲に掴まれたと云うことになった。
「ありゃあ、どうしても鷲じゃ」
「さんでんの上を飛びよった鷲じゃよ」
「熊鷹でも小供位は掴む」