Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
婆さんの体のよろけぐあいから申しましても、それは、もう、たしかにお突きになったものであります。
ところで、遠くの方におりました者は、そのわけあいは判りませんから、婆さんの額にかかっておりました門跡様のお手を見ると、門跡様がその婆さんに特別にお手を触れられたものだと見てとりました。
「門跡様のお手が触れた、ありがたいことだ、なむあみだぶ、なむあみだぶ」
「彼の婆さんの頭に、門跡様のお手が触れた、なむあみだぶ、なむあみだぶ」
「ありがたいことだ、ありがたいことだ」
「もったいない、もったいない、なむあみだぶ、なむあみだぶ」
皆婆さんの周囲に集まって来て、門跡様のお手のかかっていたあたりへ、我も我もとその手を当てだしました。婆さんは迷惑して身をかわそうとしましたが、周囲の人はだんだん多くなってきました。すると一人の壮い男が、婆さんの髪の毛を二三本指に撮んで抜き執りました。婆さんは痛いので頭を抱えて逃げようとしましたが、人が一ぱいで身動きができません、そのうちまた一人の老人が、壮い男がしたように一撮みの髪を撮んで引き抜きました。他にも一人二人、また髪の毛に指をかけました。