Japanische Klassiker mit Furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lesen Sie 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.092 Zeichen · 45 Bildschirme
渡辺は、おれのようなきたない靴をはいて来る人がほかにもあるとみえると思いながら、また靴を掃除した。
あたりはひっそりとして人気がない。ただ少しへだたったところから騒がしい物音がするばかりである。大工がはいっているらしい物音である。外に板囲いのしてあるのを思い合せて、普請最中だなと思う。
誰も出迎える者がないので、真直ぐに歩いて、つき当って、右へ行こうか左へ行こうかと考えていると、やっとのことで、給仕らしい男のうろついているのに、出合った。
「きのう電話で頼んでおいたのだがね」
「は。お二人さんですか。どうぞお二階へ」
右の方へ登る梯子を教えてくれた。すぐに二人前の注文をした客とわかったのは普請中ほとんど休業同様にしているからであろう。この辺まで入り込んでみれば、ますます釘を打つ音や手斧をかける音が聞えてくるのである。
梯子を登るあとから給仕がついて来た。どの室かと迷って、うしろをふりかえりながら、渡辺はこういった。
「だいぶにぎやかな音がするね」
「いえ。五時には職人が帰ってしまいますから、お食事中騒々しいようなことはございません。しばらくこちらで」
さきへ駈け抜けて、東向きの室の戸をあけた。