Japanische Klassiker mit Furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lesen Sie 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.092 Zeichen · 45 Bildschirme
二人はなんの意味もない話をして食事をしている。とうとうサラドの附いたものが出て、杯にはシャンパニエが注がれた。
女が突然「あなた少しも妬んではくださらないのね」といった。チェントラアルテアアテルがはねて、ブリュウル石階の上の料理屋の卓に、ちょうどこんなふうに向き合ってすわっていて、おこったり、なかなおりをしたりした昔のことを、意味のない話をしていながらも、女は想い浮かべずにはいられなかったのである。女は笑談のようにいおうと心に思ったのが、はからずも真面目に声に出たので、くやしいような心持がした。
渡辺はすわったままに、シャンパニエの杯を盛花より高くあげて、はっきりした声でいった。
“Kosinski soll leben !”
凝り固まったような微笑を顔に見せて、黙ってシャンパニエの杯をあげた女の手は、人には知れぬほど顫っていた。
× × ×
まだ八時半ごろであった。燈火の海のような銀座通りを横切って、ウェエルに深く面を包んだ女をのせた、一輛の寂しい車が芝の方へ駈けて行った。
明治四十三年六月