Japanische Klassiker mit Furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lesen Sie 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.092 Zeichen · 45 Bildschirme
ぬ」
「一昨年の夏わが休暇たまわりてここに来たりしころ、城の一族とお乗りせんと出でしが、イイダの君が白き駒すぐれて疾く、われのみ継きゆくおり、狭き道のまがり角にて、かれ草うず高く積める荷車にあいぬ。馬はおびえて一躍し、姫はかろうじて鞍にこらえたり。わがすくいにゆかんとするを待たで、かたえなる高草の裏にあと叫ぶ声すと聞く間に、羊飼いの童飛ぶごとくに馳せ寄り、姫が馬の轡ぎわしかと握りておししずめぬ。この童が牧場のいとまだにあれば、見えがくれにわがあと慕うを、姫これより知りて、人してものかずけなどはしたまいしが、いかなる故にか、目通りを許されず、童も姫がたまたまあいても、ことばかけたまわぬにて、おのれを嫌いたもうと知り、はてはみずから避くるようになりしが、いまも遠きわたりより守ることを忘れず、好みて姫が住める部屋の窓のもとに小舟つなぎて、夜も枯草のうちに眠れり」
聞きおわりて眠りにつくころは、ひがし窓の硝子はやほの暗うなりて、笛の音もたえたりしが、この夜イイダ姫おも影に見えぬ。そののりたる馬のみるみる黒くなるを、怪しとおもいてよくみれば、人の面にて欠唇なり。