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Japanische Klassiker mit Furigana

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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

Lesen Sie 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.545 Zeichen · 140 Bildschirme

Aozora Bunko

子供は母の指さす方を見たが、なんとも言わぬので、女中が言った。「木の葉があんなに染まるのでございますから、朝晩お寒くなりましたのも無理はございませんね」

姉娘が突然弟を顧みて言った。「早くお父うさまのいらっしゃるところへ往きたいわね」

「姉えさん。まだなかなか往かれはしないよ」弟は賢しげに答えた。

母が諭すように言った。「そうですとも。今まで越して来たような山をたくさん越して、河や海をお船でたびたび渡らなくては往かれないのだよ。毎日精出しておとなしく歩かなくては」

「でも早く往きたいのですもの」と、姉娘は言った。

一群れはしばらく黙って歩いた。

向うから空桶を担いで来る女がある。塩浜から帰る潮汲み女である。

それに女中が声をかけた。「もしもし。この辺に旅の宿をする家はありませんか」

潮汲み女は足を駐めて、主従四人の群れを見渡した。そしてこう言った。「まあ、お気の毒な。あいにくなところで日が暮れますね。この土地には旅の人を留めて上げる所は一軒もありません」

女中が言った。「それは本当ですか。どうしてそんなに人気が悪いのでしょう」

二人の子供は、はずんで来る対話の調子を気にして、潮汲み女のそばへ寄ったので、女中と三人で女を取り巻いた形になった。