Japanische Klassiker mit Furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lesen Sie 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.545 Zeichen · 140 Bildschirme
こういう勢いになったのは、大夫の詞に人を押しつける強みがあって、母親はそれに抗うことが出来ぬからである。その抗うことの出来ぬのは、どこか恐ろしいところがあるからである。しかし母親は自分が大夫を恐れているとは思っていない。自分の心がはっきりわかっていない。
母親は余儀ないことをするような心持ちで舟に乗った。子供らは凪いだ海の、青い氈を敷いたような面を見て、物珍しさに胸をおどらせて乗った。ただ姥竹が顔には、きのう橋の下を立ち去ったときから、今舟に乗るときまで、不安の色が消え失せなかった。
山岡大夫は纜を解いた。で岸を一押し押すと、舟は揺めきつつ浮び出た。
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山岡大夫はしばらく岸に沿うて南へ、越中境の方角へ漕いで行く。靄は見る見る消えて、波が日にかがやく。
人家のない岩蔭に、波が砂を洗って、海松や荒布を打ち上げているところがあった。そこに舟が二艘止まっている。船頭が大夫を見て呼びかけた。
「どうじゃ。あるか」
大夫は右の手を挙げて、大拇を折って見せた。そして自分もそこへ舟を舫った。大拇だけ折ったのは、四人あるという相図である。