Japanische Klassiker mit Furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lesen Sie 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.545 Zeichen · 140 Bildschirme
お父うさまやお母あさまにも逢われます。姉えさんのお迎えにも来られます」厨子王の目が姉と同じようにかがやいて来た。
「さあ、麓まで一しょに行くから、早くおいで」
二人は急いで山を降りた。足の運びも前とは違って、姉の熱した心持ちが、暗示のように弟に移って行ったかと思われる。
泉の湧く所へ来た。姉は子に添えてある木の椀を出して、清水を汲んだ。「これがお前の門出を祝うお酒だよ」こう言って一口飲んで弟にさした。
弟は椀を飲み干した。「そんなら姉えさん、ご機嫌よう。きっと人に見つからずに、中山まで参ります」
厨子王は十歩ばかり残っていた坂道を、一走りに駆け降りて、沼に沿うて街道に出た。そして大雲川の岸を上手へ向かって急ぐのである。
安寿は泉の畔に立って、並木の松に隠れてはまた現われる後ろ影を小さくなるまで見送った。そして日はようやく午に近づくのに、山に登ろうともしない。幸いにきょうはこの方角の山で木を樵る人がないと見えて、坂道に立って時を過す安寿を見とがめるものもなかった。
のちに同胞を捜しに出た、山椒大夫一家の討手が、この坂の下の沼の端で、小さい藁履を一足拾った。