Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
そして急に話したいことがあるから来てくれと言ったのは何のことだい?」
そういって訊いても女は黙って答えない。重ねて訊くと、
「それはまた後で話します」と、いう。
「じゃ、これからそろそろ宿の方にゆこうか」というと、
「私、今すぐは行けまへんの。あんたはん先き帰ってとくれやす。夜になってから行きます」
「なぜ今いけないの。一緒にゆこうじゃないか」そういって勧めたけれど、今はちょっとよそのお座敷をはずして逢いに来たのですぐというわけにはいかぬというので、堅く後を約束してそこの家を伴れ立って一緒に出て戻った。そして旅館の入口の前で別れながら、
「一緒に御飯を食べるように、都合してなるたけ早くおいで」
「ええ、そうします」といって、女はかえって去った。
冬の夜は静かに更けて、厳しい寒さが深々と加わるのを、室内に取り付けた瓦斯煖炉の火に温まりながら私は落ち着いた気分になって読みさしの新聞などを見ながら女の来るのを今か今かと待ちかねていた。女はなかなかやって来なかったので、とうとう空腹に堪えかねて独りで、物足りない夕食を済ましてしまった。そうしていても女はまだまだやって来ないので、徴醺気分でだいぶ焦れ焦れしてきて、気長く待つ気で読んでいた雑誌をもとうとうそこに投げ出して、煖炉の前に褞袍にくるまって肱枕で横になり、来ても仮睡した