Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
そして、ふっと気がついてみると長い間見なかった間にそうして坐っている様子に何となく姉さんらしい落着きが出来て、どこといって口に言えない顔のあたりがさすがに幾らか年を取ったのがわかる。それはそうである。はじめて彼女を知ったのが五年前のちょうど今の時分で、爽やかな初夏の風が柳の新緑を吹いている加茂川ぞいの二階座敷に、幾日もいくかも彼女を傍に置いて時の経つのを惜しんでいた。座敷から見渡すと向うの河原の芝生が真青に萌え出でて、そちらにも小褄などをとった美しい女たちが笑い興じている声が、花やかに聞えてきたりした。彼女はそのころよく地味な黒縮緬のたけの詰った羽織を着て、はっきりした、すこし荒い白い立縞のお召の袷衣を好んで着ていたが、それが一層女のすらりとした姿を引き立たせてみせた。でもそのころは今から見ると女の二十という年からあまり遠ざかっていない若さがあった。私自身にとっても、この女のために……まさしくこの女のためのみに齷齪思っている間に、五年という歳月は昨日今日と流れるごとく過ぎてしまって、彼女は今年もう二十七になるのである。そう思ってまたじっとその顔を見ていると、水浅黄の襦袢の衿の色からどことなく年増らしい、しっかりしたところも見える。