Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
私も御覧のとおりどすよって、一度にはよう返しまへんけど追い追いにお返しします。……おかあはん、これ、あそこへ持っていとくれやす」と、ぷりぷりしながら、突然起ち上って、やけに箪笥の抽斗をあけて、中から唐草模様の五布風呂敷を取り出してそこに積み重ねていた衣類をそれに包んだうえに、またがちゃがちゃと箪笥を引き出して、ほかの品物まで入れ足そうとする。どこかへ持って往ってすぐ金を融通しようというのであろう。
私はすこしも金など欲しいとは思わないので、飛んだことになったと、はらはらしながら、眉に皺を寄せて宥めるように、
「これ、何をするの。そんなことはしないがいい。そうしてせっかく出来ている物をそんなことをしないでもいいじゃないか。私はお前から金を戻してもらいたくないのだ」
と、手を差し出して女の手を捉らんばかりにしていうと、彼女はそれには答えず、「おかあはん、これすぐ持っていとくれやす」と、荒々しく風呂敷を包んでいる。
私は、母親はどんな心持でいるのかと、そっちを振り顧ってみると、母親は次の間の火鉢の傍で人の好さそうな顔をして、微笑しながら娘のすることを黙って遠くから見ているばかりである。