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Japanische Klassiker mit Furigana

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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme

Aozora Bunko

ほんならちょっといてきます」

といって、出て往ったが、女は、その晩からかけて翌日の晩も戻って来なかった。それから半月ばかりして、私が山の方に出立するまで彼女は多くは主人の方にいっていたが、立つ前にはまた二、三日休んで、私のために別れを惜しんでくれたのであった。

三

あれほど母子二人して歓待しておきながら、今度居処を変ったのに、なぜ知らしてくれないであろうと、少なからず淋しい気持になって、せめてこの欝いだ心を慰めるには、明るく温かい感じのする、行きとどいた旅館に往って泊るのが何よりよいと思ってその家へ投宿した。

するとちょうど古い馴染みの、気の利いた女中が出て来て、気持よく世話をしてくれた。私はさっきステーションに着いてから欝陶しい空模様と同じようにほとんど泣き出したいばかりに悲しくなっていたのが、やっと、そのためにいくらか心をまぎらすことができた。そして心地の好い風呂に入って柔かい蒲団の中に横たわって、都会的情趣に浸りながら早くから寝に就いた。七月の初めからほとんど三カ月に近い、高い山の上の枯淡な僧房生活の、心と体との飢渇から、すっかり蘇生したような気持になった。