Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
何だか、池の水の中に泳いでいる美しい金魚か何ぞのように、あまり遠くへ逃げもせず、すぐに手に捕まりそうで、さて容易に捉まらないというような心地のするのがその女であった。
どちらにしても纏まった金を幾らか調えてからでなければ、たとい会ってみたところで、今までのとおりであると思って、格別逢おうともせず、ただ、籠の中に飼われている鳥のように、番をしていないからとて、めったに、いなくなることもあるまいと、常に心には関りながら、強いて安心して、せめて同じ土地の、しかも女のいるところとは目と鼻との近いところにいるというので満足していた。そして、夏の前いた、女の家の路次の中が何となく恋しくって、宿からは近いところではあるしするので、ときどき階下の親切そうな老婦人のもとを訪ねて往って、玄関先きで話して帰ることがあった。家主の老婦人は、
「あれから姉さんにお会いしまへんのどすか」
といって訊いてくれるのであった。
「ええ、まだ逢いません」というと、
「そうどすか」と、老婦人は呆れるようにいって、「何であんたはんに会わんのどっしゃろなあ。ここで、私のところでちょっとお会いしやしたらよろしがな」