Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
どうかして、そういう心になりたい、と思いながら、私は、膝の前に置かれたそれらの男からの手紙をじっと見つめながら、封の中にどんなことを書いてあるのか、出来ることならば、封を切って中を読んでみたいように思った。差し出したところを見ると、どこか地方に行っていて、その旅先から出したものらしいから、その男も、女が気が変になって、商売を廃めてこの土地から消え失せたことは知らずにいるのであろう。……私がそうして、じっとそれらの封書に見入っているので、お繁はどう思ったか、
「この人はほんの五、六度知ってるだけどす。私もちょっと顔を見て知ってます。あれはどこのお客やったか」と考えるようにして、
「たしか、井の政のお客やったと思う。去年の春からのお客どした。……こうして人さんの手紙どすさかい、中を読んで見るわけにもいきまへんしなあ」と、私を慰め顔に言う。
「いえいえ、なにこの手紙を見たいと思ってるわけじゃありません。……ただお園が、叔父さんに連れられていったきりで、今どこにいるのか、私も、あなたも御存じのとおり、もう長い間心配していた、あの女のことですから、ぜひ一遍会って、病気の様子を見たいと思って……」