Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme

Aozora Bunko

よっぽどあんたはんの手紙に脅かされたものらしい」

彼女の言葉は婉曲であるが、その腹の底ではお園が精神に異状を呈したのも大根の原因は私からの手紙に脅迫されたのだと思っているらしい口振りである。

八

なるほどそう思われるのも全く無根の事実でもない。去年の春まだ私が東京にいて京都に来ない時分、もう何年にかわたるたびたびの送金の使途について委しい返事を聞こうとしても、いつも、柳に風と受け流してばかりいて少しも要領を得たことをいってよこさなかったので、随分思いきった神経質的な激しいことを書いて怨んだり脅かしたりするようなことをいってよこしたのは事実であった。けれども、そんなことは他人に打ち明かすべきことでないから、自分ひとつの胸の底に深く押し包んでいたけれど、それほど気に染んで片時も思い忘れることの出来ない女を、一年も二年もじっと耐えて見ないでいて、金だけは苦しい思いをしてきちんきちんと送ってやり、ただわずかに女からよこす手紙をいつも懐にして寝ながら逢いたい見たい心の万分の一をまぎらしていたのではないか。あらゆる永遠の希望や目前の欲望を犠牲にし、全力を挙げてその女を所有するがために幾年の間の耐忍辛苦を続けて来たのである。