Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
、まるで御飯が咽喉へ飛び込むようであった。女というものは恐ろしいものだが、どうしてまたこうお腹の具合を良くするものであろう。それに比べると医者からもらった胃の薬なんざあ駄目だなあと思った。
お宮は五円札を一枚やると嬉しさを押し包むように唇をきゅっと引き締めて入口まで送って出た私の方を格子戸を閉めながらさも思いを残してゆくような嬌態を見せて、
「さようなら!」と、眼を瞑るようにしながら猫のような繊細い仮声をして何度も繰り返しながら帰っていった。
私は急いで二階に駆け戻って、お宮の帰ってゆく姿の見られる西側の小高い窓を開いてそっちの方を見送ると、今しもお宮は露路口の石段を上って表の通路に出で立ちながら腰帯の緩みをきゅっと引き締めながら、
「これから帰ってまた活動するんだ」と、いわぬばかりに鬼の首をも取らんず凄じい様子で眼八分に往来を見おろして歩いていった。
それを見て私は浅ましい考えにつづいて厭らしい気がした。
加藤の家に来てから柳沢の家とはすぐ目と鼻とであったが、お宮がちょいちょい私の二階に泊りに来るようになってからは、一層気をつけて柳沢の家へは立ち寄らぬようにしていた。