Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
「ああ、そりゃ菊ちゃんだ。あなたあんな女好き?」
「ああ好きだ。いいねえ丸髷は。宮ちゃんお前も丸髷に結うといい」
「私嫌い!」そういいながらお宮はついと退いた。
二人はまた黙って別れ別れに歩いた。鎧橋を向うへ渡って山栗の大きな石造の西洋館について右に曲ると電車の響きも絶えて、株屋町の夜は火の消えたようにひっそりとしていた。凍てついた道に私たちの下駄を踏み鳴らす音が、両側の大戸を閉めきった土蔵造りの建物にカランコロンとびっくりするような谺を反した。
私はせっかくの思いでお宮と一緒に歩いていながら、女の方が思うように自分に対して和らかに靡いて来ぬのが飽き足らなくって、こっちでも拗ねた風になって、怠儀そうにして歩いてるお宮を後にしてさっさっと兜橋の方に小急ぎに歩いた。
するとお宮は「あなたどこへゆくの?」と歯をすすりながら後から声をかけた。
「ねえ、あなたどこへゆくの?……待って頂戴よ」
私はその声をきくといくらか気持よく感じながら、人通りのぱったりと途絶えた暗闇を今までよりもなお急ぎ足に走った。
「ねえ。ようあなた。どこへゆくんです?」お宮は躍起になって後から走って来る様子である。