Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
早く足を洗って堅気にならなけりゃいけないよ」
「ほんとに私もそう思うよ」お宮は太息を吐くようにしていった。
「僕が出してあげようか」
「出してもらったって仕方がない」
少し真面目な話しになろうとすると、後はそういってそらしてしまった。そういうわけで私もしばらくお宮に会わずにいた。
すると、忘れもせぬ二月の十一日の夜であった。日がな一日陰気に欝ぎ込んでばかりいた私は、その夜も、ついそこらをちょいと散歩して来るといって、水道町の通りをぐるりと一と廻りして帰って来た。私が入口に入る姿を見ると、すぐ上り口の間で炬燵にあたっていた加藤の老人夫婦は声をそろえて微笑いながら、
「あッもう一と足のところでした。惜しいことをした」
「どうしたのです? 誰れか来たのですか」
「あなたの好きな人が今見えました」老婦は笑い笑いいう。
「好きな人ってだれです?」私は、そういいながら、腹の中ではッと度胸を衝きながら、もしやお前でも夜の人目を忍んでたずねて来てくれたのではないかと思った。
そう思うと、お前の顔容から、不断よく着ていたあの赤っぽい銘仙の格子縞の羽織を着た姿がちらりと眼に浮んだ。