Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme

Aozora Bunko

スチームに暖められた汽車の中に仮睡の一夜を明かして、翌朝早く眼を覚ますと、窓の外は野も山も、薄化粧をしたような霜に凍てて、それに麗らかな茜色の朝陽の光が漲り渡っていた。雪の深い関ヶ原を江州の方に出抜けると、平濶な野路の果てに遠く太陽をまともに受けて淡蒼い朝靄の中に霞んで見える比良、比叡の山々が湖西に空に連らなっているのも、もう身は京都に近づいていることが思われて、ひとりでに胸は躍ってくるのであった。そして、幾ら遠く離れていても、東京にじっとしていれば、諦めて落ち着いているはずの、いろいろの思いが、汽車の進行につれて次第に募ってきて、はては悩ましいまでに不安に襲われてくる。

「女はいいあんばいに家にいるだろうか。此間中から大阪などへ行っていて留守ではなかろうか。大阪には一人深くあの女を思っている男があるのだ。……自分が女を初めて知った時の夏であった。その男に招ばれて、女が向うの座敷にいっている時、ちょうど上の木屋町の床で、四、五軒離れたところから、二人とも今湯を上がったばかりの浴衣姿で、その男の傍に女が来て坐っているところを遠見に見たことがあった。その時さながら身を熬るような悩ましさを覚えたことがあった。