Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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テガミ

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

小林 多喜二

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (テガミ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

――母親は貧血を起していた。

「ま、ま、何んてこの塀! とッても健と会えなくなった……」

仕方なくお安だけが面会に出掛けて行った。しばらくしてお安が涙でかたのついた汚い顔をして、見知らない都会風の女の人と一緒に帰ってきた。その人は母親に、自分たちのしている仕事のことを話して、中にいる息子さんの事には少しも心配しなくてもいゝと云った。「救援会」の人だった。然し母親は、駐在所の旦那が云っているように、あんな恐ろしいことをした息子の面倒を見てくれるという不思議な人も世の中にはいるもんだと思って、何んだか訳が分らなかった。然しそれでも帰るときには何べんも何べんもお辞儀した。――お安は長い間その人から色々と話をきいていた。

母親はワザ/\東京まで出てきて、到々自分の息子に会わずに帰って行った。

「お安や、健はどうしてた……?」

汽車の中で、母親は恐ろしいものに触れるようにビクビクしながらきいた。

「何んぼ働いても食えない村より、あこはウンと楽だって、笑っていたよ。――帰るときまで、お母アにたッしゃでいてけろと……」

母親はたった一言も聞き洩さないように聞いていた。