Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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テガミ

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

小林 多喜二

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (テガミ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

何んだか、もとよりきつい顔になっていたように思われました。私はその間の娘の苦労を思って、胸がつまりました。それでも機嫌よく話をしていました。

私たち親子はその晩久しぶりで――一年振りかも知れません――そろって銭湯に出かけて行きました。「お母さんの背中を流してあげるわ。」この娘がいつになくそんなことをいゝます。私は今までの苦労を忘れて、そんな言葉にうれしくなりました。

ところがお湯に入って何気なく娘の身体をみたとき、私はみる/\自分の顔からサーッと血の気の引いて行くのが分りました。私の様子に、娘も驚いて、「どうしたの、お母さん?」といゝました。私は、どうしたの、こうしたのじゃない、まア、まア、お前の体は何んとしたことだといゝました。いゝながら人前だったが、私は半分泣いていた。身体中いたる所に紫色のキズがついている。

「あゝ、これ?」娘は何んでもないことのように、「警察でやられたのよ」といった。

それから笑いながら、「こんな非道い目に会うということが分ったら、お母さんはあいつらにお茶一杯のませてやるなんて間違いだということが分かるでしょう!」――それは笑いながらいったのですが、然しこんなに私の胸にピンと来たことがありませんでした。