Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.649 Zeichen · 27 Bildschirme
弥生はそれを怒ってはならないと思った、妹たちがそういう考え方をするのは現在の生活が豊かに恵まれている証拠である、この家の明け昏れをなつかしがるようではそれこそ不仕合せなのだ、そう思って穏やかに聞きながしていた。けれど妹たちにはそういう姉の態度が却ってもの足りないようだった、義兄の三右衛門がいつまでも勘定所づとめなどをしていては、婚家との親類づきあいに肩身がせまい、もっと覇気をだすようにすすめたらどうか、そんなことも云いだした。そしてついさきごろには、小松の良人の百樹靱負から、奉行所へ推挙するから役替えをする気はないかという相談があった。つづいて津留の婚家からもおなじような話をもって来たが、三右衛門は、
「現在のお役には馴れてもいるし自分の性にも合うから」
といって両方とも断わってしまった。
これらのことを思いかえすたびに、弥生は自分のこしかたが徒労であり、これからさきも徒労であるような気がしはじめた。津留といっしょに来た日、小松は「自分たちには娘時代というものがなかった」という意味のことを口にした、弥生にとってこれほど痛いかなしい言葉はない、妹たちもいつかは自分の苦労を知って感謝して呉れるときがあるだろう、そう信じていたのに、まったく反対な非難をあびせられたに等しい、弥生は怒りを抑えるために身がふるえた。