Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.649 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「あのときやめた栃尾へようやくいってまいりました」

小松は健康に満ちあふれるような顔に、いたずらめいた笑いをみせながらそう云った、

「やっぱり津留さんと誘い合わせましてね、もう雪でしたけれど、却って客が少なくてようございました、山鳥を飽きるほどたべましてね」

そしてのびのびと解放された四日間の楽しかったこと、美しい谷川に臨んだ宿の眺め、気ままに浸る温泉のこころよい余温に包まれる寝ごこちなど、絵に描いてみせるように巧みに話しつづけた。

「でも津留さんにはびっくりさせられました、夕餉には四たびともお酒をあがるのですものね、いつも秋沢さまのお相手をするので癖になったのですって」

「あなたもあがったんですか」

「ほんのお相伴くらいでしたけれど」

小松はもういちどいたずらめいた笑い方をした、

「でもなんだかひめごとのようで楽しいものですのね、お姉さまもこのつぎにはぜひいらっしゃらなければ」

「わるい方たちね……」

そう云いながら、もし自分にもそんなことができたらどんなに楽しかろう、疲れた心やからだがどんなに休まるだろうと思い、それが不可能だとわかりきっているだけに、弥生の気持は耐えられぬほどの寂しさにおちこむのだった。