Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.620 Zeichen · 26 Bildschirme
萩原は御側勘定役を勤めて御出頭人といわれていたが、一年まえに妻女に死別して、あとに七歳と四歳になる男児をふたり遺された。役目がら殿さまの御参覲には家を留守にしなければならないので、子供の養育の任せられるしっかりしたのちぞいを、――ということは少しまえに父上と兄が話していらっしゃるのを聞いた。お気のどくなとは御同情したけれど、自分が二人も子のあるあとへゆくということはあまりに思いがけなくて、そのときはなんとも答えることができなかった。四五日するとこんどは父に呼ばれておなじはなしが出た。「のちぞいというのが気にいらぬだろうが、女の幸不幸はさきの人間しだいなのだから、もうおまえも少し婚期には遅れていることでもあるし……」無理にとは云わぬがと仰有ったけれども、おくち裏には承知するがよいというお心が見えるようだった。
越後の水に馴れてから二年、私はもう二十という歳になっていた。江戸ではそんなことも眼立たないが国許の古い習俗からすれば婚期に遅れたというのが普通である。だがそれだからといって、のちぞいにゆく気持などは私には些かもなかった。たしかそのすぐ翌日だったろう、私は長橋へおばあさまの御意見を伺いにあがった。