Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.743 Zeichen · 22 Bildschirme
森蔵人、千石の大寄合であるが蔵人がそのまま食ん人に通ずるほどの酒豪だった。伊右衛門も酒ずきではなかなかの組である、いちおう拒むようすだったが、また藤右衛門の心をおしはかったふうで、
「それでは早てまわしに、いまから通夜をはじめるとするか」
と腰をおちつけた。そのまま書斎へしたくをさせた。膳をはこぶ侍たちはみんな眼を泣き腫らしていた、それでいくらか洒脱をじまんにする伊右衛門は、給仕に坐ろうとする若侍の一人をしいてさがらせ、自分で酌をしながら呑みはじめた。間もなく森蔵人がやって来たし、そのほかにも二三人加わる者があって、暮れかかる頃までにぎやかな酒がつづいた。
半通夜ということをかたく守ったので、十時をすぎると弔問客はつぎつぎにかえっていった。そのさいごの客を見送ってから、藤右衛門は朝のままおとずれなかった病間へはいった。なきがらは型どおりに置き直されてあった。枕頭にすえられた経机には樒の枝をかざり、香のけぶりが燈明のまたたきのなかにゆれていた。伽をしていたのは格之助兄弟と家扶の六郎兵衛、用人左内、それに若侍たち四五人だった、女たちは次の間にいた。藤右衛門は香をあげ、しばらく枕頭に坐っていたが、やがてしずかに立ちあがると、