Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.412 Zeichen · 25 Bildschirme
彼が期待したほど再会はたのしいものではなかった。成長した彼を迎えて、叔母の眼はいっとき涙に濡れたが、挙措にも顔つきにも屹としたものが消えず、少し痩せたかとみえるからだは鎧でも着ているような感じだった。もっとうちとけた、むかしのやさしい叔母に触れたい、あまえるとまではゆかなくとも、姿勢のない心と心を触れ合せたい、そう思った彼は夕食のあとであらためて叔母の居間をおとずれたけれど、相対して坐るとこちらのほうが自然とかたくなり、どうしてもくだけた口がきけなかった。
「少しお痩せになりましたね」
そう云うと叔母はちょっと肩をすぼめるようにし、僅かに口許へ微笑をうかべた。
「ながいことずいぶん私がご苦労をおかけしましたから、ほんとうに有難うございました」
「まだそれを仰しゃるのは早うございましょう」
叔母はうちかえすようにこう云った。
「あなたはようやく十六におなりなすった、これまではどうやら順調にご成長なさいましたがたいせつなのはこれからさきのご修業です、わたくしに礼を仰しゃるのは、あなたがりっぱに成人してご結婚もなすってお家の跡目をお継ぎなさるときのことです、それまではわたくしのことなどお考えなさる必要はございません」