Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.412 Zeichen · 25 Bildschirme
肩がふるえ、嗚咽の音がくくともれた、まるでよろこびを訴えるかのように、やや暫らく噎びあげていたが、やがてまたしずかに仏壇を見あげながら、しみいるようなこえで囁やきかけた。
「あね上さまお聞きあそばしまして、お母さまと呼ぶあの弁之助さまの声を、……わたくし弁之助さまにはずいぶんお辛く致しました、きびしすぎました、あれほどにせずともよかったとは自分でも承知しておりました、でもあね上さま、わたくしにはあれよりほかに方法がなかったのです、子供をりっぱに育てあげるもあげぬも母のちからと申します。亡くなったあなたを忘れさえしなければ、あなたのお美しいおもかげを忘れさえしなければ、母親の記憶さえちゃんとしていれば弁之助さまはきっとりっぱにご成長なさる、どうしてもあね上さまを忘れさせてはならない、わたくしはそう信じました、そしてそのためには由利はきびしすぎなければなりませんでした、あの子の心をしっかりあなたにつなぎとめるために」
由利はあふれてくる涙を押しぬぐった、唇のあたりにあるかなきかの微笑がうかんだ。
「あの雪の日の折檻の夜から、お母さまと呼びかける声をお聞きでございましょう、お十六になった今でも、弁之助さまはあのようにあなたをお呼びしています。