Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.412 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

と、由利はするどい調子で云いながら、断乎とした身ぶりで懐剣をとりだした。

「わたくしにはこれ以上のおせわはできません、そしてこのようなお子にしてしまったのはわたくしも悪いのですから、亡くなった方へのお詫びに此処であなたを刺して自害します、弁之助さん、お母さまのお墓へご挨拶をなさい、お手を合せて……」

「堪忍して下さい、おゆるし下さい叔母さま」

彼はひきつけるような眼で由利を見あげ、全身をわなわなとふるわせながら叫んだ。

「弁之助が悪うございました、これからは気をつけます、喰べ嫌いも致しません、塾へもちゃんとかよいます。臆病も直します、決して爪も噛みません、叔母さま、おゆるし下さい、こんどだけおゆるし下さい、叔母さま」

「あなたはそんなに死ぬのがこわいのですか」

「いいえ」

紙のように蒼白くなった顔をあげて彼は強くかぶりを横に振った、「いいえ死ぬのがこわいのではありません、ただ父上のお名を汚すと仰しゃられたのが、……それが……」

雪まみれの顔を両手で掩ってわっと泣きだした弁之助の姿を、由利はぎゅっと歯をくいしばったまま冷やかに見まもっていた。

弁之助はその夜、自分の寝所へはいって燈を消すと、闇の空間をみつめながら、呟やくような声で「お母さま」