Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.032 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

「約束した者……」吾八は朴訥そうな眼でなお女を見上げた、「……いえ私はそんなことは存じませんです、この土地ではそんなことはございませんでしたが」

「だって八重が暇を取るとき」そういいかけて、なお女の顔に激しい動揺の色が現われた、そして改めて吾八を見た、「……八重はいま此処にいますか」

「はい、隠居所におります」吾八はいくらか自慢げにそういった、「……あれから間もなく村の娘たちに読み書きや縫い物などを教えるようになりまして、まあ申してみれば寺小屋のまねごとのようなものを好きでやっております、これもお屋敷で御奉公したおかげでございますが」

「いまいるのですね」なお女は吾八の饒舌を遮っていった、「……その隠居所というのは、どちらからいったらいいのですか」

「私が御案内を致しましょう」

「いいえ独りでいきましょう、どこですか」

「その横を右へおいでになると、すぐこの西側でございますが」

なお女はもう歩きだしていた。家の前を西へまわり、桑畑の畔を横へぬけると、若杉の袖垣の向うにその一棟があった。……なお女は縁先へ歩み寄った、まだ朝のことで、稽古に来ている者もなく、八重が独り、部屋の一隅で炉の火を焚いていた。